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花粉症対策:花粉が増えた理由

スギやヒノキの花粉が無ければスギ・ヒノキ花粉症にならないのは当然のことですが、そもそも日本国中に花粉が飛びまくるようになったのは何故でしょうか。

要約すると、戦後の大量植林で一斉に植えられたスギ・ヒノキが一斉に成長したので、花粉を一斉に飛ばし始めたということらしいです。

日本の森林面積の28%を占めるスギ・ヒノキ人工林の9割は戦後の植林によるもので、スギは昭和33年〜47年にかけて植えられたものが杉人工林全体の47%を占め、ヒノキは少しピークが緩やかで遅め。昭和38年〜52年生がヒノキ人工林全体の40%になります。

スギ・ヒノキが花粉を盛んに生産するようになるには30年ほどかかるそうですから、高度経済成長期に植えた木が、今になって一斉に花粉を飛ばしまくっているということでしょう。

平成14年3月31日現在

国土面積:3,779万ヘクタール
森林面積:2,512万ヘクタール(国土面積の66%)
人工林面積:1,036万ヘクタール(森林面積の41%)

スギ人工林:452万ヘクタール(森林面積の18%・人工林面積の44%)

  • 樹齢1〜55年のスギ人工林:404万ヘクタール(スギ人工林の89%)
    樹齢31〜45年のスギ人工林:214万ヘクタール(スギ人工林の47%)

ヒノキ人工林:257万ヘクタール(森林面積の10%・人工林面積の25%)

  • 樹齢1〜55年のヒノキ人工林:232万ヘクタール(ヒノキ人工林の90%)
    樹齢26〜40年のヒノキ人工林:104万ヘクタール(ヒノキ人工林の40%)

林野庁:森林データ

どうやら花粉が飛びまくることになった原因は、自然の気まぐれではなく、人間が心ならずも花粉を飛ぶように仕向けた結果のようです。

森林伐採の歴史:江戸時代〜太平洋戦争

杉や檜は建築に適した木材として日本では古くから使用されていました。

といっても闇雲に木を切ればいずれ無くなってしまいますから、既に江戸時代から留山制度という管理システムや植林政策を導入して、天然杉を保護、森林資源の枯渇を防いでいたそうです。

時代が下って太平洋戦争時、日本の木材は軍需目的で大量に伐採されました。鉄などの金属を使い切ってしまった戦争末期には、木製飛行機や木製輸送船なんてものまで造ったそうです。しかし、経費削減のために植林はされずに切りっぱなし。

森林伐採の歴史:戦後〜高度経済成長期

戦争が終わっても、焼け野原になった都会を復興させるために杉や檜は伐採され続けましたが、昭和23年の国有林野経営規定により材木の成長量に見合った伐採量に抑えられるようになり、植林も再開されました。

しかし木材の需要は増大し続けて供給が追いつかなくなり、昭和33年に国有林野経営規定を全面改定して成長量を超えた伐採を許可、昭和35年には外国材の輸入制限枠が大幅に拡大、自由化されます。

爆発栄螺さんのサイトによれば、昭和33年には「林力増強計画」というものが実施されたそうですが、政府は農産物感覚で木を育てるつもりだったのでしょうか。

4月1日
国有林経営合理化及び国有林生産力増強計画(林力増強計画)実施(1958年度から1997年度までの40年間の長期計画、森林生産力を40年間で2倍化を目標、そのため林材育種・林地肥培・密植等により生産期間を短縮、林道網整備を推進)。

日本の鍬形虫:No More SUGI !キャンペーン

この頃の植林は成長の早い杉や檜が殆どで、しかも天然林の広葉樹まで伐採して杉林に変えていったそうです。広葉樹のブナは役立たずの木とされ“ブナ退治”などと言われていたり、当時の新聞には「国有林は売り惜しむな」「木材輸入を」といった記事が載ったとか。

どうも日本中で木を切りたがっていたようです。

成長が早いといっても、杉が木材として使えるまで40〜50年かかることを関係者が知らないはずは無いので、森林資源が枯渇する前に植林による杉が使えるかどうか計算はしていたと思いますが、していなかったのかもしれないし・・・よくわかりません。

とにかく片っ端から切って一斉に杉を植えるという政策をとった結果、昭和39年には国有林の年間伐採量は2324万m3に達しましたが、その後下降に転じ、昭和47年に2000万m3弱、昭和54年に1400万m3、平成元年に1000万m3、平成7年には700万m3に落ち込みます。

『モクネット』サイトによれば、江戸時代に植えられたいわゆる天然秋田杉が戦前から大量に伐採され続けた秋田県では、昭和36年には53.2万m3だった伐採量が昭和45年頃から急速に減り始めました。

昭和47年の天然秋田杉伐採量は34.1万m3、59年には6.0万m3にまで落ち込み、それに伴って希少価値が上がり値段も急騰しています。

モクネット:山林の運営(2)伐採量の推移
モクネット:木の値段(1)

森林伐採の歴史:オイルショック以後

イケイケの伐採によって日本の森林資源が枯渇して木材パニックが起きたかというと、もちろん起きませんでした。

オイルショックにより建築ラッシュが一段落したこともありますが、安価な外国材の輸入増加により国産材の価格が下がってしまい、切っても儲からないどころか赤字になる状況となってしまったことが大きな理由と言われます。

  • 昭和35年:木材供給量=5655万m3 国産材=4900万m3 自給率=86.7%
  • 昭和50年:木材供給量=9637万m3 国産材=3458万m3 自給率=35.9%
  • 平成9年:木材供給量=10990万m3 国産材=2156万m3 自給率=19.6%

みんなの森:木材の需要量と自給率の変化

更に、輸入量が拡大された昭和35年当初は丸太で入ってきた外材が、後には加工済みの製品として輸入されるようになり、製材所を含む林業全体が苦しい状況に陥ってしまったとのこと。

しかし、90年代以降の国産杉の価格は、輸入された米ツガよりも低くなっているのが、なんか変です。

森林文化.com:日本の木材価格の推移

てっきり外国材は安いのが取り柄だと思っていたのですが、話が違う。高く売れる太い杉がいよいよ底をついたのかと思ったのですがよくわからない。調べてみると、“国産材の品質は元々悪かったのだ”という情報を見つけました。

建築ジャーナル:国産材について

高度経済成長期は完全な売り手市場でしたから、質の悪い木材でも高く売れていました。ところが高品質な外材が安く入ってきたので、一部のブランド品を除いた国産材は淘汰されてしまい、外材の値段が上がってきても建築屋さんは国産材を使いたがらないので、国産材の値段は下がる一方になったようです。

建築ラッシュ当時の国産材は角の丸い角材や乾燥が不十分な材も高く売れていたということですが、これは住宅の建築工法も関係しているような気がしますね。

私の想像ですが、伝統的な日本家屋の建築では、材の多少の狂いは現場で大工さんが修正できていたんじゃないでしょうか。あらかじめ材の狂いを見込んで、それを許容できるように建てられる職人技を持っていた、という話をどこかで聞いたような気がします。

もちろん粗製濫造もあったでしょうが、昔は建築の技術に頼って業界全体がそれなりにうまく収まっていたところに、アメリカの安い上手い早い2×4工法とかプレカット工法なんてのが本格的に紹介されて、そちらの方が需要が多くなってしまった。

外来の工法は、あらかじめ工場で材を加工しておくので、現場に持ち込んだら寸法が狂っていたなんてことになると、非常に困る。

現場の職人技を必要としないかわりに、建築材の精度を要求するわけですが、日本の林業というか製材業は、この要求の変化に充分対応できなかったのかもしれません。

森林伐採の歴史:現在

どうも話が複雑で、調べていると収集がつかなくなります。

結局私に分かったのは、現在は国産材が輸入材より値下がりしているにもかかわらず、依然として輸入材の方が需要があるということであり、日本の林業が衰退しきってしまっているということです。

平成16年の木材需要量は8980万m3で自給率は18.4%。

木を切っても赤字になるので林業従事者は減り続け、山の手入れをする人手もますます足りなくなる。昔一斉に杉や檜を植えた人工林の多くは、充分な手入れをされず放置されているようです。

方や木材輸入において日本は世界のトップクラス。環境破壊の批判の的であり続けています。自国の森は放置しておいて、他国を禿げ山にするという不思議な国になってしまいました。

花粉症対策としての間伐

延々と書いてきましたが、花粉症と直接関係するのは、“昔一斉に杉や檜を植えた人工林の多くは、充分な手入れをされず放置”という箇所だけです。

造林の手順

  1. 地拵え(苗木を植えるための整地)
  2. 植林(1haあたりの苗木は3,000本程度)
  3. 下刈(植林後7〜8年間は毎夏苗木周辺の雑草を刈る)
  4. 除伐(植林後8年目からは、2〜3年毎に木の生長を妨げる雑木や折れた育成木を除去したり下枝払いを行う)
  5. 保育間伐(植林後21〜30年で植林した木の1/3程度を伐採。残りの木同士の間隔広げて生育を確保する。間伐材は切り捨て。)
  6. 利用間伐(植林後31〜35年で更に1/3を伐採。間伐材は出荷できるが、現在は赤字の可能性大。)
  7. 主伐(植林から40〜50年後。)

現在問題になっているのは、5.6の間伐が充分になされていないという状況で、今まで真っ当な間伐を行って本数を減らしていれば、花粉の飛散は2/3以下になっていたかもしれません。

また、植物は生育環境が悪化すると、種の生き残りのために花粉量を増加させると言われます。間伐で環境を改善してやれば花粉の量は更に減るのではないか。木も十分成長できるので商品価値も上がるかも。

などと、間伐は花粉症対策としては良いことずくめかと思っていましたが、さにあらず、間伐によって日当たりが良くなると花粉量が増加する可能性もあって、実際に京都府立大学の斎藤秀樹教授らの研究では、檜の高齢林を間伐によって本数密度を20%減らしたら、総花粉量が15%増えたそうです。

GLNからこんにちは:スギからみた花粉症

斎藤教授は「林業労働者の不足と木材価格の低迷から手入れされていない現在のスギ・ヒノキ植栽林の花粉生産量は最低レベルにあると観て過言ではない」と述べています。

2002〜2005年度にかけて雄花の多い木を間伐して花粉量を検証していた林野庁の報告では、結局間伐の効果があるのか無いのか未だによく分からないということだったようですが、粉飾報告などしなければ良いのに。

間伐することで環境が変わりますから、木が“花粉を飛ばすなら今の内”などと考えているのなら、2〜3年は飛散量が増えても徐々に減って行くような気もしますが、よくわかりません。

長期にわたる調査データが必要になるでしょうが、実際に調査しているのでしょうか。

分からないことだらけです。

理想の人工林

結局、今すぐスギ・ヒノキ花粉を減らすのは不可能に近く、長期的に考える必要があるようです。戦前のような森が増えていけば花粉も減っていくはずですし、国内林業が盛んになれば、他国の森を破壊せずに済むかもしれません。

すでに、長期的視野に立って理想的な人工林を造っている方々も出てきています。ポイントは杉や檜のみの単層林でなく、針葉樹と広葉樹が混在する複層林を目指している点でしょう。自然に近い森なので、杉や檜の絶対数が減って大きな木が育ちやすく、中には間伐すら必要ない森もあるそうです。

未来樹2001:伊勢神宮宮域林見学ツアー
未来樹2001:新・間伐マニュアル
FAIRWOOD.JP:森林認証で林業経営がどう変わったか?
NHK:地球だい好き 環境新時代:清太郎さんの森

ついでに・・・

いきなり話が飛躍しますが、日本中にあるように思えるスギ・ヒノキ人工林は沖縄と北海道にはほとんどありません。

林野庁のデータによると、東京や大阪などの大都市圏では各都府県の森林面積の35〜45%程度がスギ・ヒノキ人工林ですが、北海道のスギ・ヒノキ人工林は道南部に32200ヘクタールで森林面積の0.6%。沖縄はスギ人工林が300ヘクタールで森林面積の0.3%。この2道県が国内ダントツの少なさです。

沖縄に引っ越したとたん花粉症の症状が消えた人もいるそうで、旅行社も沖縄へ脱スギ花粉ツアーを組んでいたりしますが、行きの飛行機内はまだ花粉が飛び交っているのでマスクは持って行きましょう。

それから、花粉とは全く関係ありませんが、沖縄では空港外に免税ショップがあって、国内旅行でも免税品が買えるそうです。

ミモザの旅行プラン:花粉から逃れる旅

でも飛行機代を考えると、結構高くつくんじゃないかと・・・あ、観光のついでに買うから別にいいのか。(←・・・)

参考リンク
林野庁:森林データ
日本の鍬形虫:No More SUGI !キャンペーン
みんなの森:木材の需要量と自給率の変化
森林文化.com:日本の木材価格の推移
建築ジャーナル:国産材について
モクネット:山林の運営(2)伐採量の推移
モクネット:木の値段(1)
GLNからこんにちは:スギからみた花粉症
未来樹2001:伊勢神宮宮域林見学ツアー
未来樹2001:新・間伐マニュアル
FAIRWOOD.JP:森林認証で林業経営がどう変わったか?
NHK:地球だい好き 環境新時代:清太郎さんの森
2ch:林業ってどうですか??